ディズニーパークを建築として読み解く

ディズニーパークは、単なる遊園地ではありません。そこには、様式・遠近法・都市構造・高低差・光の設計まで、緻密に組み上げられた「建築」の思想があります。物語はアトラクションの中だけで完結しているのではなく、街並みそのものに埋め込まれているのです。

このページでは、東京ディズニーランド/東京ディズニーシーを“建築”という視点から読み解いた記事をまとめています。

ファサード、装飾、都市構成、実在建築との接続まで。空想世界の裏側にある設計思想を探ります。

建築様式を読み解く

ディズニーの建物は、単なる雰囲気づくりではありません。世界各地の建築様式を引用し、再構成し、物語の中に溶け込ませています。

建物の表面に隠された「記号」

もはや伝説と言ってもいいアトラクション「イッツ・ア・スモールワールド」。色彩は変わっても、ファサードの構成は変わっていません。そこには玉ねぎ型ドームや尖頭アーチなど、世界の名建築を想起させる「記号」が散りばめられています。

あわせて読みたい
【ケンチク探検】イッツ・ア・スモールワールドのファサード(外観)を考える 東京ディズニーランドのイッツ・ア・スモールワールドのファサードを実際に観察し、玉ねぎ型ドームや尖頭アーチ、風車や塔など世界の建築様式との共通点を考察。東京ディズニーシーのアラビアンコーストとも比較しながら、「世界はひとつ」というテーマを建築視点で読み解く実体験ベースの記事です。

様式のミックスが生む物語性

東京ディズニーシーの中でも一際目立つ存在「ホテルハイタワー」。ゴシック、イスラム風装飾、折衷的な増築表現。意図的な「統一されていない感じ」が、持ち主の物語を語ります。

あわせて読みたい
【ケンチク探検】ホテルハイタワーの建築を考える 東京ディズニーシーのホテルハイタワー(タワー・オブ・テラー)外観を実際に観察し、ゴシックやイスラム風装飾など多様な建築様式のミックスを考察。増築の痕跡や装飾の共通点にも触れながら、建築視点で読み解くケンチク探検の実体験レポートです。

空想世界と現実の結びつき

ジーニーが魔法の力で作ったといわれるアラビアンコースト。アラビアンコーストは単なる「中東風」ではありません。幾何学模様、ムカルナス、マシュラビーヤといったイスラム建築の要素が、想像以上に丁寧に再現されています。

あわせて読みたい
東京ディズニーシー建築考察|アラビアンコーストでイスラム建築を考える 東京ディズニーシーのアラビアンコーストを実際に歩き、幾何学模様やムカルナス天井、マシュラビーヤなどイスラム建築の要素を観察。マジックランプシアターやカスバ・フードコートを巡りながら、本格的な装飾の再現度を実体験ベースで考察するケンチク探検記事です。

パークを都市として見る

ディズニーシーは一つの“街”です。しかし現実の街とは違い、すべてが計算されています。道の幅、高低差、視線の抜け、見せたいものと隠すもの。

建物単体ではなく、都市構造そのものを読み解くことで、見えてくるものがあります。

あわせて読みたい
【ディズニーシー】アラビアンコーストで「高低差に隠された秘密」を考える 東京ディズニーシーのアラビアンコーストを歩きながら、メディテレーニアンハーバーとの高低差に注目。埋立地に生まれた坂や段差が、視界をコントロールし「見せたい景色だけを見せる」設計になっていることを実体験ベースで考察。図解も交えて解説するケンチク探検記事です。

風景の設計を考える

なぜディズニーシーの景色は美しく感じられるのか。その理由を西洋絵画の構図理論から考えてみると、前景・中景・後景のレイヤー構成、三角形の安定構図、視線誘導の線など、意図された設計が浮かび上がります。

あわせて読みたい
ディズニーシーの風景の美しさを絵画の構図から考える 東京ディズニーシーの風景を実際に歩いて観察し、アクアスフィアやファンタジースプリングスのラプンツェルの塔、アレンデール城などを題材に、前景・中景・後景や線・反復・三角形といった絵画の構図理論から美しさの理由を考察。造り込まれた空間設計を実体験ベースで読み解く記事です。

創造の源泉を辿る

ディズニーの空間は、完全なオリジナルではありません。実在する都市や建築が、その源泉となっています。

フィレンツェとポンテ・ヴェッキオ

東京ディズニーシーの橋の一つ「ポンテ・ヴェッキオ」。本家フィレンツェの橋には、宝石店の上を通るヴァザーリの回廊が存在します。もちろんディズニーシーに回廊そのものは存在しません。しかし「都市の中に隠された動線」という発想は、実はテーマパークの中に形を変えて受け継がれているのかもしれません……。

あわせて読みたい
【フィレンツェ】ウフィツィ美術館の建築とヴァザーリの回廊を巡る フィレンツェのウフィツィ美術館で、展示作品だけでなく建築そのものにも注目しながら、美術館内部とヴァザーリの回廊を巡った体験記。トリブーナや窓からの景色、メディチ家のために造られた秘密の動線、ピッティ宮殿へ続く回廊の見どころを、実際の見学ルートに沿って紹介します。

シンデレラ城とノイシュバンシュタイン城

シンデレラ城のモデルの一つと言われるドイツの城。断崖に建つ姿、山岳風景との関係性は、物語性を強く生み出します。

あわせて読みたい
【ドイツ・フランス旅行記】炭酸水と曇り空:その5(3日目Vol.1 ノイシュバンシュタイン城篇) 雪に包まれたフュッセンからホーエンシュバンガウへ向かい、ノイシュバンシュタイン城を訪問。雪道を歩いて城へ登り、番号管理や自動改札で入場する内部見学も体験しました。撮影不可のため写真はないものの、洞窟風の空間など印象的な内装に驚き。見学後は近くのレストランでラビオリや炭酸水を味わった一日の記録です。

ヴェネツィアとゴンドラ

ディズニーシーのゴンドラは、言うまでもなくヴェネツィアが培った運河の文化が下敷きになっています。水上都市という特殊な都市構造を歩いて体感しました。

あわせて読みたい
【ヴェネツィア】本場ゴンドラで味わうセレナーデ。乗って初めて分かった意外な現実 ヴェネツィアで本場のゴンドラに初乗船。憧れのセレナーデ体験の「期待と現実」、路地運河で見えた水の都の魅力や意外な発見を、旅行者目線でリアルに紹介します。

イスラム世界の現在形

アラビアンコーストの源流を辿ると、中東の都市へと行き着きます。現代のイスラム都市空間を知ることで、アラビアンコーストに再び訪れたくなります。

あわせて読みたい
【ドーハ・トランジット観光】カタール航空ディスカバー・カタール体験レビュー バルセロナ帰国時にドーハで乗り継ぎ、カタール航空の「ディスカバー・カタール」で市内観光。ハマド国際空港からイスラム美術館、カタラ文化村、スーク・ワーキフを巡り、チーズクナファも実食したトランジット体験記。

ディズニーの世界を飛び出して

ディズニーパークで培った観察眼を使って、現実世界の建築を見てみるとどうなるでしょうか。

様式はなぜ引用されるのか。未来はどのように造形されるのか。都市はどのように物語を語るのか。

テーマパークで学んだ視点は、そのまま世界の都市を読み解く道具になります。

記号を溶け込ませた建築

歴史的様式を引用しながらも、現代に溶け込ませる建築は少なくありません。ファサードに込められた象徴性や、都市の中に埋め込まれた動線。ディズニーパークで感じた「記号の読み解き」は、現実の街でも生きてきます。

あわせて読みたい
【ケンチク探検】イッツ・ア・スモール…ナゴヤ!?「名古屋市美術館」訪問 黒川紀章設計の名古屋市美術館を訪問。西欧と日本の文化を融合させたポストモダン建築で、メタリックな鳥居や飛び石、神社建築を思わせる造形など、名古屋城や茶室といった要素が随所に散りばめられています。地下を感じさせない吹き抜け空間や独特な意匠の数々を探検しながら楽しむ、謎解き感覚の建築レポートです。

未来はどう表現されているか

未来都市はどのような形をしているのか。

近未来建築、曲線、素材、光。テーマパークで表現された「未来像」と、現実の建築が描く未来像を比べてみると、新しい発見があります。

あわせて読みたい
ソウル1泊トランジット観光という選択。ソウルタワー見学にモクサルを食べる! ソウル駅周辺の宿泊先としてフォーポイントバイシェラトン・ジョソン・ソウル駅が人気です。このホテルは駅直結で便利ですが、アクセス方法や料金について事前に確認しておくことが重要です。旅行の計画に役立つ情報をお届けします。
あわせて読みたい
トーレ・グロリエス(トーレ・アグバール)とバルセロナパビリオンへ。勝手に世界3大坐薬ビルに認定 バルセロナでトーレ・グロリエス(旧トーレ・アグバール)の展望台に上り、サグラダ・ファミリアや海まで一望。その後、ミース・ファン・デル・ローエ設計のバルセロナパビリオンを見学し、モンジュイックの丘やArenas de Barcelonaも巡った現代建築散策の記録です。
あわせて読みたい
【台中旅行記】台中国家歌劇院をケンチク探検/Food Republicでランチ(GW台湾中部旅 Vol.12) 日月潭から台中へ移動し、台中国家歌劇院を建築探検。伊東豊雄設計の曲面空間や屋上広場を音声ガイド付きで体感しました。ランチはTop City 台中大遠百のFood Republicで牡蠣オムレツなど台湾グルメを満喫。台中観光の記録です。