fukuhomu本記事では、実際に訪れて感じた館内の見どころやベルニーニ作品の魅力に加え、予約困難なチケット事情や代理店利用時の注意点についても詳しく紹介します。これから訪問を考えている方の参考になれば幸いです。
名作が揃うボルゲーゼ美術館
貴族の別荘が美術館に
イタリア旅行で色々な美術館に行きましたが、ボルゲーゼ美術館が最後の美術館訪問となります。


ボルゲーゼ美術館(ムゼオ・エ・ガッレリア・ボルゲーゼ/Museo e Galleria Borghese)はその名前の通り、ローマの貴族であったボルゲーゼ家が所有していた美術館でした。元々はボルゲーゼ家の夏の別荘として建てられ、その中で収集された美術品がコレクションのルーツとなっています。
1902年にイタリア政府に買収されたことで、かつては上流階級でしか見ることができなかった作品が、現在では入場券さえ買えれば一般市民も当時の豪華絢爛な空間の中で名作を楽しむことができる、素晴らしい場所となっています。
チケットが全然取れねえ!割高代理店チケットの罠
そんな素晴らしいボルゲーゼ美術館ですが、館自体はそれほど大きくないため収容人数が限られており、チケットがすぐ売り切れてしまうというのが課題です。興味がある方は、できるだけ早めにチケットを確保しておくべき美術館だと思います。
- ボルゲーゼ美術館の公式サイトはここ(https://galleriaborghese.cultura.gov.it)
- ボルゲーゼ美術館の公式チケット販売はここ(https://www.tosc.it/en/artist/galleria-borghese/)
我々も決断が遅く、公式サイトからはまったく予約ができなかったため、仕方なくGetYourGuideで販売されている割高な代理店チケットを購入することになりました……。GetYourGuideで購入してもガイドが付くわけではなく、単に代理店の手数料分が上乗せされるだけの仕組みです。
というか、このような代理店がチケットを押さえているからこそ、公式サイトで予約が取りづらくなっているのでは……と感じてしまいます。
Google検索で出てくる「borghese.gallery」「Tiqets.com」「GetYourGuide.com」はいずれも代理店による販売で、チケット価格が2倍以上になることもありますので注意が必要です。特に「borghese.gallery」は公式サイトのように見せかけて代理店チケットへ誘導しているため、かなり紛らわしい存在だと感じました。


現地でチケット受け取り
ボルゲーゼ美術館の現地に到着すると、正面の噴水の周辺に複数の代理店の担当者が待機しています。


自分が予約した会社の担当者のところへ行き、チケット情報が印刷された紙を受け取れば、それでやり取りは終了です。


たったこれだけのために……倍額のチケットを買うことになるとは……。正規価格であれば18ユーロ(約3,300円)の入場券なのに、実際には6,000円以上支払うことになりました。これは悔しい……。
時間になったら館内へ
見どころしかない、そんな美術館
しかし中に入ると、そんな割高な代理店チケットのことなどすっかり忘れてしまうほど、素晴らしい空間が広がっています。上下左右、すべてが一級品です。
最初の部屋に展示されているのは、バロック芸術の巨匠・ベルニーニの代表作「プルトンとプロセルピナ(プロセルピナの略奪)」です。


ベルニーニはローマに数多くの作品を残しており、かつてはイタリア紙幣の肖像にも採用された人物です。このような彫刻作品だけでなく、建築や街中の噴水も手掛けており、ローマの芸術において最重要人物の1人と言っても過言ではないでしょう。


(左)舟の噴水(バルカッチャの噴水)
(右)トリトーネの噴水
ベルニーニの美しき彫刻
プロセルピナの略奪
ボルゲーゼ美術館にはベルニーニの著名な作品が3つあり、その最初に現れるのがこの「プルトンとプロセルピナ(プロセルピナの略奪)」です。


1621–1622年 ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ
この作品のベースになっているのはローマ神話ですが、ローマ神話自体がギリシャ神話の影響を強く受けています。プルトンはローマ神話では冥界の神で、ギリシャ神話におけるハデスにあたる存在です。
そのプルトンに連れ去られているのがプロセルピナで、豊穣の女神ケレスの娘です。彼女が冥界に連れ去られたことで、母であるケレスは深い悲しみに沈み、その影響で地上には冬が訪れるとされています。
その後、プロセルピナは1年のうち半分を冥界で、もう半分を地上で過ごすことになり、これが春夏秋冬の始まりとされるようになりました。
そんな神話的な背景はさておき、この彫刻の素晴らしさは、今にも動き出しそうな躍動感と、プルトンの手がプロセルピナの腹部や太ももに食い込むように表現された、その生々しさにあります。


プロセルピナの柔らかく美しい肉体が、これほどまでにリアルに表現されているのが大理石だなんて、にわかには信じられません。思わず見入ってしまう完成度です。
そしてプロセルピナの足元には、3つの頭を持つ犬がいます。3つの頭を持つ動物は現代の物語でもよくモチーフとして登場しますが、これは冥界の神に仕える怪物ケルベロスです。
一見するとただの犬に見えるのですが、よく見ると首が3つあるのが分かり、なかなか不気味な存在です。
ダビデ
2つ目に登場するベルニーニの作品は、「ダビデ」です。


1623–1624年 ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ
ダビデといえば、フィレンツェのアカデミア美術館にあるミケランジェロのダビデ像を思い浮かべる方も多いかもしれません。


ダビデは、石だけで巨人ゴリアテを倒した若き英雄です。この作品では、その戦いの瞬間が表現されており、手にした投石器のロープと石を間近で見ることができます。


しかも、このロープまでもがすべて彫刻で表現されているのです。思わず驚いてしまう精巧さで、見ているだけで折れてしまわないかと心配になるほどです。一体どれほどの集中力と技術があれば、ここまでの表現ができるのでしょうか……。
アポロンとダフネ
ベルニーニの3つ目の作品は「アポロンとダフネ」です。


1622–1625年 ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ
ローマ神話の物語で、太陽神アポロンが精霊(ニンフ)のダフネに恋をし、追いかけ続けた結果、ダフネはそれを拒んで月桂樹へと姿を変えてしまうというものです。
この彫刻では、まさにダフネが木へと変わる瞬間が表現されています。手の先が木へと変化していく様子がはっきりと見て取れます。こちらの作品も非常に完成度が高く、ベルニーニの技術力の高さに圧倒されます。
ちなみに、木に変身したダフネは、精霊の姿には戻れないとされています。そこまでしてアポロンから逃げたかったダフネ……よほど嫌だったのでしょう。



つづく…

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