ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2025:フィンランド、フランス、英国、ドイツなど世界の建築パビリオンをめぐる旅

この記事は…

実体験であることを保証します!

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はじめに

fukuhomu
ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2025を引き続き楽しみます。フィンランドやハンガリー等を鑑賞し、会場内でランチを食べます。
目次

引き続きヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展ジャルディーニ会場のパビリオンを巡る!2/3記事目

フィンランド館/Finlandia

引き続き、ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2025を巡ります。次はフィンランドです。フィンランドは北欧パビリオンとしても出展していますが、単独館もあります!

青と白のシンプルで機能的な形の建物です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ フィンランド館

もともとは仮設の建物として建てられたそうですが、現在も大切にされ、愛されています。この建築を手掛けたのは、アルヴァ・アアルトとエリッサ・アアルト。そう、北欧インテリアでは欠かせない巨匠、アアルト夫妻です!

ヴェネツィア・ビエンナーレ フィンランド館

アルヴァ・アアルトが手掛けた椅子の名品「スツール60」や、イッタラで今も売られている花瓶(通称アアルトベース)は愛用していますが、実際の建築を目にするのは今回が初めてです。

展示のテーマは「パビリオン — 継承の建築(The Pavilion – Architecture of Stewardship)」です。このパビリオンの建物そのものを、どのように守り継いでいくかがテーマになっています。

ヴェネツィア・ビエンナーレ フィンランド館の展示

時には倒木によって大きなダメージを受けながらも、人の手によって再び現在の姿へと蘇る過程が映像で映し出されます。館内の椅子ももちろんスツール60。しかも、3本脚です。(3本脚は倒れやすいので、こうした場所ではあまり使われないイメージです)

fukuhomu
ウチで酔っ払って3本脚の椅子から倒れた人がいる……

ハンガリー館/Ungheria

お次はハンガリーです。先ほどのフィンランドパビリオンとは真逆の、石造りで重厚な建物です。竣工は1909年で、とても歴史を感じます。金色を基調にしたモザイクタイルのアーチが、建物の印象をさらに引き立てています。

ヴェネツィア・ビエンナーレ ハンガリー館

そして他のパビリオンがイタリア語で国名を記しているのに対し、こちらは3つの言葉で書かれています。HUNGARYは英語での名前、UNGHERIA(ウンゲリア)はイタリア語、MAGYARORSZÁG(マジャロルサーグ)はハンガリー語です。

エントランスのアーチ以外にもモザイク壁画があり、見どころがたくさんあります。

ヴェネツィア・ビエンナーレ ハンガリー館

展示テーマは「ここに見るべきものは何もない。あなたの知識を輸出せよ!(There Is Nothing to See Here. Export Your Knowledge!)」です。

怪しい赤いマネキンが立つ建築事務所というロケーションで、建築の知見を生かし、建築以外の領域で活躍する事例が紹介されています。

ヴェネツィア・ビエンナーレ ハンガリー館の展示

映像展示では、日本の建築家・原広司の名前も登場しました。

ヴェネツィア・ビエンナーレ ハンガリー館

この展示は、建築を学んだメンバーがいるハンガリーのバンドKalákaが、原広司が設計したヤマトインターナショナル東京本社ビルの図面を音楽として再解釈した作品です。

TIKIKITI AI
せっかく東京にいるなら行ってみたいピヨね

パビリオンの建物そのものから展示のビジュアルまでも楽しめました。

ヴェネツィア・ビエンナーレ ハンガリー館の展示

近くにあったイスラエルパビリオン。イスラエルは今回の建築展には不参加となっています。老朽化が理由とのことですが…。

ヴェネツィア・ビエンナーレ イスラエル館

アメリカ館/Uniti d’America

続いてアメリカです。アメリカのテーマは「ポーチ:寛容の建築(PORCH: An Architecture of Generosity)」です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ アメリカ館の展示

ポーチはアメリカ建築を象徴する要素のひとつです。映画『バック・トゥ・ザ・フューチャー』の3作目では、ジェニファーがポーチに備え付けられたブランコで寝かされていましたよね、あれがポーチです。

そんなポーチを、住宅だけでなく公共建築なども含めて、さまざまな角度から見直す展示です。

デンマーク館/Danimarca

こちらはデンマーク。ギリシャ建築のような柱に、現代的なイエローが組み合わされた建物です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ デンマーク館

そして中に入ってびっくり。展示というより、まるで工事現場なのw

ヴェネツィア・ビエンナーレ デンマーク館の展示

こちらのテーマは「現場からつくる(Building of Site)」です。改修中の建物から出た建材そのものを使った、インパクトの大きい展示です。

部屋によっては床がすべて取り払われていました。

ヴェネツィア・ビエンナーレ デンマーク館の展示

ヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展、何でも「アリ」過ぎる…(笑)

デンマークパビリオンは2つの建物で構成されており、床が抜けていたのは写真で見ると左側の建物です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ デンマーク館

スイス館/Svizzera

スイスです。テーマは「設計図を超えて、現場で建築家が形を定める(Endgültige Form wird von der Architektin am Bau bestimmt)」です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ スイス館

このパビリオンを手掛けたブルーノ・ジャコメッティは、彫刻家アルベルト・ジャコメッティ(日本にも作品が所蔵されています)の兄でもあります。

その建築に対して、「もし同時代に活躍した女性建築家のリズベス・サックスが設計を担当していたら…」という仮定のもとで、カーテンや新たな壁が加えられています。

ヴェネツィア・ビエンナーレ スイス館の展示

正直、迷路みたいになっていてよく分からなかったのですが、ランダムに配置したのではなく、1958年に開催された「SAFFA(Swiss Exhibition for Women’s Work:スイス女性労働展)」の際に、リズベス・サックスが手掛けた展示館を当てはめているそうです。

フランス館/Francia

またまた工事現場のパビリオンです。こちらはフランス。改修中で建物内部が使えないため、外側に組まれた足場が展示スペースとして活用されています。

ヴェネツィア・ビエンナーレ フランス館

建物は古典主義的で堂々としていますが、ピンクの柱がモダンな印象を添えています。

ヴェネツィア・ビエンナーレ フランス館

展示のテーマは「ともに生きる(Vivre Avec)」です。環境変化に向き合う、フランス国内外の建築や環境プロジェクトが紹介されています。

ヴェネツィア・ビエンナーレ フランス館の展示

英国館/Gran Bretagna

そしてこちらは英国です。テーマは「英国修復の地質学(Geology of Britannic Repair)」です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ 英国館

パビリオンの外観に見える無数のポツポツは、目の錯覚ではありません。これも今回の展示の一部です。

展示は現代の英国だけでなく、かつて植民地だったケニアにも及びます。そのため、展示全体もアフリカの雰囲気が強く感じられます。

ヴェネツィア・ビエンナーレ 英国館の展示
 《Earth Compass(地球の羅針盤)》

かつての植民地時代に宗主国が与えた「傷」をどう癒していくか――英国はそれを地球規模で捉えており、そのスケールの大きさに改めて感心しました。

内容をすべて理解できなくても、視覚的に楽しめる展示でした。

ヴェネツィア・ビエンナーレ 英国館の展示
《Vena Cava(ヴェナ・カーヴァ)》

ドイツ館/Germania

ドイツです。テーマは「ストレステスト(STRESSTEST)」です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ ドイツ館

温暖化が進む都市をどうしていくべきかを問いかける展示です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ ドイツ館

実際に熱を体感できる部屋もあり、ただでさえ暑いイタリアだったので長居はできませんでした……(笑)

カナダ館/Canada

カナダは軽やかなデザインの建物です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ カナダ館

中に入ると、怪しげな物体が収められたケースがお出迎え。SF映画のワンシーンのようです。

ヴェネツィア・ビエンナーレ カナダ館の展示

テーマは「ピコプランクトニクス:生きた建築材料構造(Picoplanktonics)」です。3Dプリンタで生成された構造体にシアノバクテリアという原生生物を共生させ、二酸化炭素を吸収し炭素として閉じ込めるという「生きた建築」を模索する展示です。

ヴェネツィア・ビエンナーレ カナダ館の展示

シアノバクテリアという名前はあまり聞き慣れませんが、日本語では「藍藻(らんそう)類」といい、大阪・関西万博で展示されていたスピルリナもシアノバクテリアの1種です。

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昼ご飯休憩しよう!

カフェでサンドウィッチ

そろそろお昼ご飯にします! 会場内のカフェでいただきました。気づけば、これがイタリアでの初ご飯です。

飲み物はデザインが可愛いLIMONATAとモレッティ。

リモナータとモレッティの瓶

食事はサンドウィッチ「スキアッチャータ・ロマーナ(Schiacciata Romana)」をいただきました。

スキアッチャータ・ロマーナ

中にはモルタデッラ(豚ハム)、ストラッチャッテッラ(ブラータチーズの中身)、ピスタチオが入っていました。イタリアでの初注文は少し緊張しましたが、無事に完了!

fukuhomu
この後もヴェネツィア・ビエンナーレ国際建築展2025です!(次回最後の記事です)

この記事は連載です!

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