



後半戦の大物パビリオン巡回
EARTH MARTとnull2
大阪万博4回目の訪問の後半です。後半は、注目度の高いパビリオンの見学が続きます。
SANAAが設計したシグネチャーパビリオン「Better Co-Being」は、予約制でしか入場できないため、なかなか入る機会がありません。通り道にあるたびに、その印象的な姿を写真に収めてしまいます。


建築は、もはや建物とは思えない不思議な造形で、木々や空と一体になって独特の世界を生み出しています。会期中に1度はぜひ体験してみたいパビリオンです。
向かったのは、同じくシグネチャーパビリオンである、小山薫堂がプロデュースする「EARTH MART」です。こちらのパビリオンの建築は、大成建設と隈研吾建築都市設計事務所が担当しています。


今回のパビリオンについては、隈研吾事務所の若手による社内コンペティションが行われ、7つの案の中から選ばれたデザインが採用されているそうです。コンペの審査員にはプロデューサーの小山薫堂も参加していたとのことです。
屋根には全国の産地から集められた茅が使用されており、派手な建築や未来的な建築が多い中で、このパビリオンは良い意味で控えめなデザインに感じられます。独自の雰囲気を持った特別な建築だと思います。
その次は、またまたシグネチャーパビリオンである「null²(ヌルヌル)」に入ります。


こちらは大人気で、なかなか抽選に当選しませんが、当日の整理券配布(現在は整理券ではなく、ウェブシステムで予約を取る形式に変更されています)のタイミングに近くを通りかかり、インスタレーションモードに入ることができました。
フランスパビリオン
その日、最後に訪れたのはフランスパビリオンです。昼間はシルバーを基調としたモダンな建築ですが、夜になるとフランスのトリコロールカラーにライトアップされ、華やかな雰囲気へと変貌します。


フランスパビリオンは歩いて巡るタイプの展示で、スムーズに案内が進むため、見た目の印象よりも待ち時間が短く、比較的スムーズに体験することができます。
これにて、4回目の訪問も終了です。








【画像あり】パビリオン・ショーの感想
EARTH MART
EARTH MARTは、食と命の循環をテーマにしたパビリオンです。今回さまざまなパビリオンを見た中でも、トップレベルに好きな展示でした。ぜひ、万博終了後には全国の博物館などで巡回してほしい展示だと感じました。
内部は、空想のスーパーマーケットに見立てられた展示になっています。嵐の松本潤さんが登場するオープニング映像を見た後は、本物の野菜を使った展示から始まります。


本物とはいえ、一風変わった野菜たちが並んでいました。
野菜売り場の次は鮮魚売り場です。天井からは鰯(イワシ)の大群が泳いでおり、その先にはスーパーの販売棚が設けられています。


鰯は一生のうちに10万匹の卵を産みますが、成魚になるのはわずか100匹。そのうち、私たちの食卓に届くのはたった3匹なのだということが、視覚的に伝わる展示になっていました。


こちらの綺麗なシャンデリア(?)は、日本人が一生のうちに食べる卵の数(約28,000個)を表現しています。


それでもかなり多いと感じますが、中国の人々はさらに多くの卵を食べているそうです。


次の売り場は精肉コーナーです。精肉として並ぶ肉も、もともとは動物であるという事実を改めて実感させられます。


秤のあるコーナーでは、籠の中のものを秤に乗せると、重さ以外の数字が表示されます。


その数字が何を意味しているのか、クイズ形式で考えさせられる仕掛けになっています。


壁に貼り出されたレシートは、世界各国の人々がスーパーでどのようなものを購入しているのかを示しています。


例えば、メキシコではトルティーヤを買っているようです。


「未来を見つめる鮨屋」というコーナーでは、有名寿司店「すきやばし次郎」のオーナーがバーチャルで登場し、寿司を握ってくれます


(もちろんバーチャルなので食べられません(笑))。


掲げられている寿司ネタは“未来の食材”というテーマで、「プリン体ゼロ白子」や「あたらないかき」など、あったらいいなと思える空想の寿司ネタが並んでいます。


こちらのコーナーは未来がテーマなので、他にもテクノロジーを駆使した空想の冷凍食品などが展示されています。
これらはニチレイのデザイナーが実際にデザインを手がけたそうで、一つ一つに見ごたえがあります。


最後の部屋では、プロジェクションを使った演出により、食や食卓を通して私たちの日々の生活について改めて考える機会が与えられました。




繰り返しますが、こちらの展示は非常に興味深く、万博の会期終了後にもじっくりと見直したいと強く感じました。


ぜひ巡回展示を実現してほしいです。
null2
こちらも、落合陽一がプロデュースを手がけたシグネチャーパビリオンです。


展示ルートは2つあり、予約が必要な「ダイアログモード」と、今回体験できた予約不要の「インスタレーションモード」があります。
室内に入ると、デジタル技術を駆使した映像体験が始まります。SF的な雰囲気が強く、まるでチームラボのような印象を受けました(笑)。


巨大なロボットアームで動くモノリスのような物体や、上下左右を問わず映し出される映像など、しばらくは世界の凄さに呆然としてしまいました。


ダイアログモードはさらに面白いそうなので、ぜひ体験してみたいと思っています。そしてこちらも、万博終了後には巡回展示をしてほしいです。
日本科学未来館あたりで開催されたらうれしいですね!
フランスパビリオン
大人気で大行列のフランスパビリオンにも、やっと入ることができました。階段を上って展示会場に入るまでの空間も、とても素敵でした。


後からポッドキャストで知ったのですが、展示空間の中ではずっと心拍音を用いたBGMが流れているらしい? 展示に夢中で気付かなかったので確認しに行きたいです……。


フランス館に協賛している企業の中でも、ルイヴィトンを擁するLVMHの存在感が際立っていたように感じます(笑)


最初の部屋では、火事で焼失したノートルダム大聖堂のガーゴイルが、「もののけ姫」のワンシーンとともに展示されています。


ルイヴィトンのトランクで敷き詰められた部屋は圧巻でした。会場の設計は、日本人建築家の重松象平が担当していました。


パビリオンの随所には、ロダンの彫刻が配置されており、フランスらしさが感じられます。


次の部屋でも再びルイヴィトンの展示が登場します。


ここでは、ルイヴィトンの巨大なトランクでできた球体に映像が映し出されていて、この映像は日本人アーティストの真鍋大度が制作したものだそうです。
屋上に移動し、樹齢1000年のオリーブの木が中央に植えられた池を眺めて、次の部屋へと進みます。


モナコのパビリオンでも、かなり樹齢の長いオリーブの木が運ばれていましたが、オリーブってそんなに簡単に移動させても大丈夫なのか、少し気になります。
次の部屋はディオールの展示です。手前に映っている椅子に見覚えのある方もいるかもしれません。


この椅子は、日本人アーティストの吉岡徳仁による作品です。


他にも、日本人建築家の妹島和世が手がけたディオールのバッグなどが展示されており、ここまでご覧いただいた通り、フランスパビリオンは日本とのつながりを意識した構成が随所に見られます。


次の部屋では、フランスを代表する風景と日本の風景を接続する展示が行われています。ノートルダム大聖堂は、同じく火災で焼失した首里城とともに展示されており、




モンサンミッシェルは広島の厳島神社と、しめ縄で象徴的に結びつけられていました。


ここで紹介したのは展示の一部にすぎません。全体を通して非常に気合が入っていて、見ごたえのある内容でした。
できれば空いているときにもう一度ゆっくり見たいところですが、どうやらその機会はなかなか訪れなさそうです…。
出口を出た先にも、ちょっとした展示がありますので、お見逃しなく!


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