fukuhomuウフィツィ美術館へ行く!
その前にドゥオーモに寄り道
ホテルで朝食を食べ、ウフィツィ美術館に出発です。宿泊しているW Florenceからは歩いて向かいました。
フィレンツェ市内には地下鉄がなく、観光スポットが集中するエリアでは公共交通機関も小さなバスが中心です。エリア自体はコンパクトにまとまっている点は良いのですが、観光はほぼ徒歩で巡ることになります。



ホテルからウフィツィ美術館までの道中には、フィレンツェのシンボルである「サンタ・マリア・デル・フィオーレ大聖堂(通称ドゥオーモ)」と「サン・ジョヴァンニ洗礼堂」があります。


素通りしようと思っても、建物のあまりの美しさにどうしても足が止まってしまいます。


隅々まで細かな芸術で彩られた建物で、いつまでも眺めていたくなりますが、明日は鐘楼に登る予約をしているので、また改めて訪れることにします。


手荷物検査を経て入場です
ウフィツィ美術館への入場は予約が必要です。ハイシーズンは早い段階で予約が埋まってしまうため、事前に確保しておくことをおすすめします。



そもそも「ウフィツィ美術館」の「ウフィツィ」とは官庁という意味で、もともとは官庁舎として建てられた建物の中に、メディチ家が自身のコレクションを展示し始めたことが始まりです。その建物が現在はそのまま美術館として使われているため、美術館にしては少し変わった形をしているのも、そう考えると納得できます。
美術館の前に到着すると人が沢山! 路上で絵を売っている人たちも多く、踏んでしまうと高額請求されることもあるらしいので、周囲をよく見て行動しましょう。
そこから入場の列に並び、手荷物検査を経て美術館の中へ入ります。手荷物検査の後には有料の音声ガイドを借りることができるので、今回は利用しました。



大混雑の館内!名作の数々!
大事なのは、全てを見ようと思わないこと
入場してすぐの1階にも絵が沢山ありますが、ここはひとまず後回しで大丈夫です。というのも、美術館を一周すると、最終的にまた1階へ戻ってくる順路になっているからです。というわけで、中に入ったら階段を上り、まずは最上階へ向かいます。
作品は古い時代のものから順番に展示されているため、流れに沿って鑑賞するのがおすすめです。ただし、世界に名の知れた美術館だけあって、作品数はとてつもなく、観光客として数時間訪れる程度ではとても見切れる量ではありません。まさに美術館旅行あるあるとでも言いますか…。
そのため、すべてを見ようと欲張るのではなく、「これは絶対に見たいもの」「気になったもの」を中心に、メリハリをつけて巡る意識が大切だと思います。
時代順に絵画を見て行きます
金色に光り輝く、ルネサンス以前のビザンティン様式の作品から鑑賞が始まります。様式名にもなっているビザンティンとは、東ローマ帝国のことを指します。


ドゥッチョ・ディ・ブオニンセーニャ 1285年頃
こちらの作品「ルッチェライの聖母」は、もともとサンタ・マリア・ノヴェッラ教会内にあった、ルッチェライ家の礼拝堂のために制作されたものですが、現在は美術館に移設されて展示されています。描かれているのは、見てお分かりの通り、聖母マリアと幼子イエスです。
また、絵の縁にも人物像が描かれており、これらは旧約聖書に登場する預言者たちです。
お次は「聖女マルガリータと聖アンサヌスのいる受胎告知」です。


シモーネ・マルティーニ と リッポ・メンミ 1333年
金色を基調とした雰囲気は先ほどの作品と共通していますが、制作された時代はおよそ50年ほど後になります。先ほどは全体的に平面的だった人物表現が、こちらではより動きのあるものに感じられますね。
この作品は、フィレンツェと同じトスカーナ地方にあるシエナのシエナ大聖堂に、もともと設置されていたものでした。先ほどの絵と同様に、上部の円の中には旧約聖書の預言者が描かれていますが、中央の円だけは誰も描かれていません。
中央に描かれているのは、新約聖書に基づく、大天使ガブリエルが聖母マリアに受胎告知をする場面です。


このマリア様の仰け反り方が、なかなか印象的ですよねえ…。また、ガブリエルの口から言葉がビームのように放たれている表現も、とても特徴的です。
美術館を貫く長い通路です。


ここにもさまざまな絵画や彫刻が並んでいて、とてもすべては見切れません。
こちらの作品は「サン・ロマーノの戦い」です。


パオロ・ウッチェロ 1435-1460年
主題となった戦いは1432年に実際に起こったもので、トスカーナ地方の都市国家であったフィレンツェとシエナの間で行われ、フィレンツェ側が勝利を収めました。
この作品はフィレンツェ側の依頼によって描かれたもので、戦いを題材にしていながらも、生々しい描写はほとんど見られません。フィレンツェの勝利を祝う、いわばプロパガンダ的な性格を持つ作品です。
前脚を大きく上げた馬の躍動感に呼応するように、背景に描かれたうさぎも大きく跳ねているのが印象的で、細部まで見ていて面白いですね。
ボッティチェッリの名作!!
ウフィツィ美術館で最も外せない作品のひとつが、ボッティチェッリの作品です。


誰もが一度は、いや、何度も目にしたことがある、世界有数の有名作ですね。こちらが「プリマヴェーラ」です。


サンドロ・ボッティチェッリ 1482年頃
絵の中には、どこかミステリアスでありながらも美しい世界が広がっています。
タイトルのプリマヴェーラは「春」という意味で、描かれている主題はキリスト教ではなく、古代神話です。右から、春の暖かい西風の神ゼフィロス(男)、そのゼフィロスに攫われているクロリス、そしてその隣にはクロリスと同一人物である花の女神フローラ(女神に昇格!)が描かれています。中央にはヴィーナス、その周囲に三美神、そして左端のイケメンがメルクリウスです。
お次は、さらに有名な「ヴィーナスの誕生」です。


先ほどの「プリマヴェーラ」と同じ作者、サンドロ・ボッティチェッリの作品です。海で生まれたヴィーナスが貝殻に乗り、風に運ばれて陸へと向かっていく場面が描かれています。


サンドロ・ボッティチェッリ 1483年頃
ヴィーナスの顔立ちはとても絶妙で、首の向きもどこか不自然に見えますが、そもそも人間ではなく「女神」ですからね!!
プリマヴェーラとヴィーナスの誕生は、どちらもサイゼリヤの壁に飾られていることで有名ですが、最近の店舗ではそのような内装がなくなり、シックな雰囲気になってしまったのが、少し寂しく残念に感じています。
どんどん時代は進みます!
まだまだ続く名作の数々
こちらの「聖人のいる無原罪の御宿り」は受胎告知を描いた作品ですが、一般的な受胎告知のセオリーには当てはまらない、少し特殊な構図になっています。


ピエロ・ディ・コジモ 1485-1505年
中央に描かれているのは聖母マリアです。この作品が特に印象に残ったのは、登場人物たちの表情に、どこか虚無感のようなものを感じたからでした…。なんとも言えない表情をしていませんか?
ルネサンス3大巨匠
お次は、レオナルド・ダ・ヴィンチの「受胎告知」です。


レオナルド・ダ・ヴィンチ 1472年-1475年頃
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロ、ミケランジェロは、3大巨匠と呼ばれていますが、こちらは後に「最後の晩餐」や「モナリザ」を描くことになる、レオナルド・ダ・ヴィンチ初期の代表作です。大天使ガブリエルの構え方がキマッてますよね。
続いては、ラファエロの作品「ヒワの聖母」です。


ラファエロ・サンツィオ 1505年–1506年頃
ヒワとは鳥のことで、赤い顔をしているのが特徴です。また、ヒワはアザミという棘のある植物を好んで食べるそうで、そこから赤は血、茨はイエスが処刑直前に被せられた「茨の冠」を連想させることから、キリスト教では「受難」の象徴とされています。
そのヒワに手を伸ばしている右側の赤子が幼子イエス、左側が、将来イエスに最初の洗礼を授けることになるヨハネです。将来イエスが受ける苦しみを暗示する一方で、額縁の中の世界はとても穏やかで、幸福感に満ちているのが印象的です。
そんな絵を描いたラファエロの自画像がこちらです。


ラファエロ・サンツィオ 1506年頃
自然な表情と眼差し、シンプルな黒い服、身体の角度……まるで現代のファッション誌のような洗練さを感じます。
続いて、こちらもラファエロの作品です。2つで1つの作品になっており、描かれている2人は夫婦です。


ラファエロ・サンツィオ 1504-1507年
(右)《マッダレーナ・ドーニの肖像(Ritratto di Maddalena Strozzi)》
ラファエロ・サンツィオ 1504-1507年
近くにいた子どもが「モナリザに似てる!」と言っていて、その芸術的素養の高さに驚きました(笑) この肖像画はモナリザと同じ構図になっており、身体は少し斜めを向いているのに、目線はこちらをじっと見つめています。背景にも、モナリザと同様に自然が描かれています。
レオナルド・ダ・ヴィンチ、ラファエロと続いて、満を持して鑑賞するのが、ミケランジェロの「聖家族」です。


ミケランジェロ 1507年頃
まず驚かされるのが、絵の形が円形であること! このような円形の絵画は、15世紀のフィレンツェで流行したそうです。
さらに、この作品は額縁そのものもミケランジェロが制作しており、額縁から飛び出すように表現された顔は、旧約聖書の預言者や、異教世界の予言者であるシビュラたちです。前半で見た13世紀の作品にも額縁に預言者が描かれていたので、もう慣れてきましたね?
絵に描かれているのは、タイトルどおり「聖家族」です。手前にいるのが聖母マリア、後ろで幼子イエスを抱いているのが、マリアの夫である聖ヨセフです。マリアが後傾したポーズを取っていることで、円形の画面と相まって、強い奥行きを感じさせます。
その奥行きの先に目を向けると、裸の人々が多数描かれていることに気づきます。彼らはキリスト教以前の世界の人々を表しているとされており、この作品は、額縁による「預言」、中心の「イエスの誕生」、そして背景の「キリスト教以前の世界」という3つの要素が組み合わされた構成になっています。
ミケランジェロに影響を与えたローマの彫刻
ミケランジェロの作品が並ぶ、ウフィツィ美術館最上階の廊下の一番奥には、ひときわ目立つ彫刻があります。


これは、16世紀にローマで発見された、紀元1世紀頃の古代ローマ時代のラオコーン像を、同じく16世紀に模刻したものです。
ローマにある本物が発掘された当時、ミケランジェロもローマに滞在しており、このラオコーン像を実際に目にしたと言われています。そのダイナミックな身体のねじれ表現に大きな衝撃を受けたとされ、その影響が、先ほど見た「聖家族」における聖母マリアのポーズへとつながっている、というわけです。
ラオコーン像の隣には、猪の彫刻も展示されています。


こちらも古代ローマの1~2世紀頃の作品で、フィレンツェ市内にある「ポルチェッリーノの噴水(Fontana del Porcellino)」のブロンズ製の猪像の原型となったものです。あちらは「触るとまたフィレンツェに戻って来られる」という伝説から人気の観光スポットになっていますが、こちらは残念ながら、ほとんど素通りされている印象でした……。



つづく…

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