グエル公園を歩く! 〜時代を先取りしすぎた住宅分譲地〜

この記事は…

実体験であることを保証します!

連載「夏のカタルーニャ・バルセロナ旅行記」の記事です。(13/24)

約 8 分で読めます。( 4274 文字)

はじめに

fukuhomu
バルセロナ観光2日目。フィゲラスのダリ劇場美術館に行ってからバルセロナに戻ってきた後、まだまだ観光を続けます。向かうのはガウディが手がけたグエル公園です。体力は持つのか!? この記事では、バルセロナ・サンツ駅からグエル公園に向かい、グエル公園を散策した話をお届けします。
目次

グエル公園へ

チケットは事前予約

グエル公園も他のガウディの建築作品と同じように、チケットは事前に予約が必要です。

ただ、サグラダ・ファミリアやカサ・ミラと違って、結構前に売り切れてしまうことは少ないようです。今回は事前に購入し忘れていたのですが、前日に購入しても普通に買えました。

大混雑のバスで移動

グエル公園へは、地下鉄とバスを乗り継いで行きます。地下鉄の駅から歩くこともできますが、公園は高台にあるため、坂道を登ることになります。(しかも行った8月はかなりの暑さ!)

そこで、なるべく入口の近くまで行けるバスを利用することにしました。

利用したバス停はこちら⬇️で、V19か24のバスが利用できます。ただし、バスは観光客で非常に混雑しており、まるで朝の山手線のようでした(笑)

グエル公園にはいくつかの入口がありますが、こちらのバスを利用した場合、カルメル入場口から入ることになります。

カルメル入場口から入ったところ

ただし、これらのルートやルールは頻繁に変更されることがあるため、事前に確認することをお勧めします。

飲み物の準備をお忘れなく

グエル公園の散策は、屋根のない場所をひたすら歩くことになるので、必ず飲み物を持参しましょう。近くにはコンビニエンスストアや自販機などもないので、事前に買っておいてください。

公園内に入ると、非公式であろう人たちが何故かペットボトルの水を売っているので、そちらで購入することも可能です。

とにかく広い! 見るべきものは見極めて…

この公園は元々は住宅分譲地

グエル公園は、紡績業で成功したエウセビ・グエルが、建築家アントニ・ガウディとともに計画した住宅分譲地の開発プロジェクトでした。

地植えの巨大サンスベリア

この分譲住宅地は、自然と調和した環境で上流階級が暮らすことを目的としていましたが、立地の不便さや当時の社会経済的状況もあり、わずか2軒(しかも1軒はガウディで、もう1軒はグエル家の弁護士)しか売れず、住宅地の開発プロジェクトとしては失敗に終わりました。

現在は1926年にバルセロナ市に移管され、公園として一般に公開されており、ユネスコの世界遺産にも登録されています。

敷地内はとても広く、さらに高低差もあるので、見たいスポットをあらかじめ決めてから歩くのが良いと思います。

道路を支える柱とその下の道

我々が公園に入って最初に目に入ったのはこの道路でした。

上は車道、下は歩行者用の通路になっており、この構造が暑い日にはとてもありがたかったです。まるで古代遺跡のような雰囲気ですよね。

上に上がったところです。手すりも手作り感があふれるデザインで、非常にユニークな形をしています。

TIKIKITI AI
良い眺めだけど、市街地から遠いこの場所に住むのはなかなか勇気がいるピヨね

トゥリアス邸

グエル公園で実際に建設された2軒の建物のうちの1軒がこちらの「カサ・トゥリアス(Casa Trias)」です。カサ・トゥリアスは、グエル家の弁護士であったマルティ・トゥリアス氏の所有する家で、1903年から1906年にかけて建設されました。

ガウディの建築ではないのです

現在もこの家はトゥリアス家の子孫が所有しており、私有地だそうです。人だらけでとても住めないとは思いますがw

fukuhomu
グエル公園の入場料を少しは分けてもらえたりするのでしょうか…?笑

モデルハウスはガウディ邸に

こちらのピンクのかわいい建物は「ガウディの家博物館(カサ・ムセウ・ガウディ)」です。ガウディは父と妹と一緒に実際にここに住んでいました。

もともとこの家は、モデルハウスとして建てられたものです。

このモデルハウスの設計者はガウディではなく、彼の弟子であるフランセスク・ベレンゲーでした。ベレンゲーは建築士の資格を持っていなかったため、ガウディが代わりに申請書類にサインをしていたそうです(笑)

ピンクの外壁に施されたくねくねとした装飾がとても可愛く、自分の勝手なイメージとしては地中海沿いにある建物のようなデザインだな!と思いました。行ったことないけどw

TIKIKITI AI
ファンタジースプリングスホテルにも似てる気がするピヨ
fukuhomu
中に入りたかったのですが、こちらのチケットを買い忘れていて入れませんでした……😭

岩で造られた壁がある「ヤシの木の遊歩道」

ガウディの家博物館の前の道をまっすぐ進むと、岩の壁がそびえる道にたどり着きます。岩の壁には植物が生い茂り、まるで植物園のようです。この道はグエル公園の中心を横切る道であり「ヤシの木の遊歩道(パセイグ・デ・レス・パルメレス/Passeig de les Palmeres)」と言う名前が付いています。

石で造られた椰子の木です

この壁の中にはトイレがあり、中に入ると洞窟のようなデザインになっていて、とても面白かったです。

TIKIKITI AI
岩の壁に植物が沢山植っているのもファンタジースプリングスを思い出させるピヨね
岩ホンタス
ヴォウ……

一際大きいのはグエルが邸宅として使った「カサ・ララード」

その先をさらに進むと、一際大きな建物があります。こちらは、この住宅分譲地のプロジェクトの発起人であるグエルが晩年邸宅に使った「カサ・ララード」です。その大きさから家というよりも、まるでビルですね。

カサ・ララード

そして現在はなんと小学校として活用されており、バルセロナの人々の柔軟さに驚かされます。

この時は夏休み期間だったせいか、とても静かでした。(なので小学校として使われているとは気付かなかった!!)

斜めになったアーチと洗濯女の柱

ここまで回っても、グエル公園の全体の半分にも満たないエリアしか見ていないと思います。この黒いぐねぐねした扉の先には、グエル公園の象徴的な風景の一つである「ポルティック・デ・ラ・ブガデラ(Pòrtic de la Bugadera/洗濯婦の柱廊)」があります。

岩でできたトンネルのような独特の造形が特徴的です。そしてなんといってもこの斜めな感じが面白い!

この部分がなぜ「洗濯婦の柱廊」と呼ばれるかといいますと、柱の一部にその理由があります。よく見ると、人の形をした彫刻がある柱があり、これが「洗濯婦」を表しています。

女性が洗濯物が入ったカゴを頭の上に載せて運んでいる姿を見つけられますか?(写真の右から2番目の柱です)

さらに奥まで進むと、このようにねじれた柱を見ることができます。独特なデザインが印象的なので、ぜひ奥まで行くことをお勧めします。

ゴルゴダの丘

ここからはひたすら坂を上って、丘の上まで進みます。この坂はそれなりの長さがあるので、登るには覚悟が必要です。坂の上にあるのは「ゴルゴダの丘(カルヴァリーの丘)」と呼ばれる場所です。

以前は十字架のところまで登れたそうです

その名前は、イエス・キリストが磔になったエルサレムの丘の名前から取られています。

当初、ここには礼拝堂が設けられる予定でしたが、実現しませんでした。丘の上には3つの十字架が飾られており、現在はその周囲からバルセロナの景色を楽しむことができます。が、言うほど……なので行かなくても良かったかも(笑)

正面玄関付近は見所が集結

ギリシャ劇場(自然広場)と取り囲むベンチ

ゴルゴダの丘から景色を見た後は、元の場所に戻ります。ここから、グエル公園で最も有名なエリア、いわばメインディッシュとも言える部分です。

まず最初に目にするのが「ギリシャ劇場(自然広場/Plaça de la Natura)」です。その名の通り、広い空間が広がっていますが、見どころは広場を取り囲む波打つ形のベンチです。

ベンチは色鮮やかなタイルで覆われています。これらのタイルは、不良品や割れたタイルを集め、ここで装飾として再利用されました。

これは「トレンカディス」と呼ばれる、破砕タイルを使ったモザイク技法で、ガウディ建築の代表的な特徴の一つとして知られています。

しかし、このベンチのタイルを手掛けたのは実はガウディではなく、その弟子のジョゼップ・マリア・ジュジョールでした。

引き取られたタイルで作られているため、場所によって色やデザインが異なり、特定の場所では、色やデザインが一体感を持っている部分も見られます。

自分のお気に入りの柄を探してみるのも良いかもしれません。

TIKIKITI AI
元々どこで使われるはずのタイルだったのだろうなんて想像もするピヨね

市場として造られた多柱式ホール

ギリシャ劇場のベンチの裏には、口から水を吐くガーゴイルがたくさん取り付けられています。

ギリシャ劇場の下は、たくさんの柱が並んだピロティになっています。この空間は「多柱式ホール」と呼ばれ、新たな住宅地の住民のための市場として計画されていました。

また、柱の内部は雨水を集める管があり、この下に造られた貯水槽に雨水を貯める仕組みになっています。

この多柱式ホールの上を見上げると、白いタイルを使ったトレンカディスがきらきらと光を反射しています。太陽や星のようなデザインのモザイク画も非常に美しく、魅力的です。

TIKIKITI AI
よく見るとガラス瓶の底などタイル以外のものも使われているピヨ

正面玄関へとつながる大階段

多柱式ホールの正面には大階段があり、この先はグエル公園の正面玄関です。現在、この玄関は出口専用になっています。

階段の中央にはグエル公園の象徴であるサラマンダー(ドラゴン)がいます。このサラマンダーもガウディの弟子、ジョゼップ・マリア・ジュジョールのデザインです。

さらに、赤と黄色のカタルーニャの旗をイメージした装飾も見ることができます。こちらについている動物は蛇です。この蛇は医学をシンボルで、健康の象徴として用いられたのでは?と言う説があるのですが、別の説もあり実際にはよく分からないようです。

TIKIKITI AI
階段を降りきってしまうと再入場できないので気をつけてピヨ

管理小屋と守衛小屋

正面玄関の両脇には、中に入れる建物があります。公園内から向かって右側が「管理小屋(カサ・デ・ルス・グァルダ)」、左側が「守衛小屋(カサ・デルス・グァルディアス)」です。

どちらも生クリームがのったケーキのようにキュートなデザインが特徴的です。管理小屋は現在、お土産屋さんとして利用されています。

管理小屋

最後に見るのは守衛小屋(カサ・デルス・グァルディアス)です。こちらは中に入って見学することができますが、広くはないため、順番を待って入場します。

守衛小屋

中は外観の印象とは異なり、シンプルな内装でした。

上の階登ると、窓から大階段や多柱式ホールをよく眺めることができ、段差の大きさがよく分かります。

これにてグエル公園の中の見学完了です。

fukuhomu
楽しかったけど疲れたね…
TIKIKITI AI
ダリ劇場美術館に行った帰りに来るとこではなかったピヨね…

正面玄関も凝っている

…と思いきや。グエル公園の正面から出た後も、面白いポイントがたくさんあります。囲いも非常に凝ったデザインで、まるで鍾乳洞のような造形です。「Park」の文字も可愛らしく、別の場所には「Guell」の文字もあります。

また、守衛小屋にも「Park Guell」の文字がデザインされています。

可愛らしい2つの建物が並ぶ正面入り口は、まるでおとぎの世界に迷い込んだかのようです。

それでは、ホテルに向かいます!

タクシーでホテルへと向かう

既に体力の限界が来ていたので、運よく拾ったタクシーに乗って移動します。最高に楽しかったー!!

fukuhomu
この後は本日から宿泊する2軒目のホテル、コットンハウスホテルへと向かいます。

つづく…

この記事は連載です!

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