フィゲラスのメインイベント「ダリ劇場美術館」
たくさんの卵が目印
高速鉄道に乗ってバルセロナからフィゲラスにやってきました!
たくさんの卵が乗っているこのヘンテコな建物が、ダリ劇場美術館です。もともとは劇場だった建物を改築して作られたため、ダリ劇場美術館と呼ばれています。
かつてここが劇場だった頃、その回廊で当時まだ14歳だったダリの作品が展示されたことがあったそうです。しかし、スペイン内戦の時に劇場は半壊してしまいました。そう遠くない1950年頃の話です。
そしてダリ劇場美術館は1974年に開館しました。作品の選定、設計、内装、すべてダリが手掛けた美術館です。
入場チケットは事前予約で
美術館に入れる定員が限られており、当日購入だと夕方以降のチケットしか購入できない場合があるので、事前に予約しておくことがベターです。
高速鉄道の時間で到着時間は読めると思うので、それに合わせて予約しておきましょう。
入場前から楽しませてくれる
ダリ劇場美術館の前の庭では、入場時刻になるのを待つ来場者がたくさんいて、賑やかです。ここにもダリの作品が展示されており、入場前から私たちを楽しませてくれます。
入口の上には、ダリが潜水服を着て公演をした時に溺れそうになったという逸話を思い出させる、潜水をイメージしたオブジェや、フランスパンを頭に乗せた女神像などが並んでいます。こちらも注目しましょう。
タイヤが積み上がった謎のオブジェもあります。左下奥↙️には巨大なダリの顔も。
さあ劇場の中へ
荷物はクロークへ!
館内に入るとまず荷物を預けるクロークがあります。リュックサックは持ち込めないので、ここで預ける必要があります。預けたくない場合は、小さい荷物で行くことをお勧めします。
入り口の部屋には、ダリとピカソの版画が飾られています。いきなりダリではない芸術家の作品が飾られていて、驚きました(笑)
そこは摩訶不思議ワールド
中に入ると吹き抜けのパティオがあります。そこに置かれているのが「雨降りキャデラック」です。
パリで展示した作品「雨降りタクシー」の再現であり、その後もニューヨークなどでも同じテーマの作品が作られて現在のこちらは4台目だそうです。ダリと妻ガラがアメリカ滞在時に実際に使用した車とのこと。
そんな2人が使った車の上にあるのは、黄色い逆さまになったボートです。
このボートは、ダリが愛する妻ガラにプレゼントしたものだそうですが、ガラはこのボートを使って若い男性と遊んでいたそうです。それが入り口に置かれているのも、なかなか……ですね。
タクシーは1ユーロ硬貨を入れると、中で雨が降ります。キャッシュレスの時代なので、なかなか1ユーロ硬貨を持ち合わせていないかもしれませんが、もし持っていたらぜひ入れてみてください。
私は、周りの人が入れたタイミングに遭遇したので、運よく見ることができました(笑)
パティオを抜けると、大きな吹き抜けの空間に出ます。ここの壁一面に飾られている大きな絵は、ダリが舞台装置、衣装、台本を担当したバレエ『迷路』のもので、舞台幕の原画を拡大した壁画です。
吹き抜けの中央にある四角い部分の下↑には、ダリのお墓があります。多くの人が気づかずに踏んでしまっていますが、実は、この美術館全体がダリの大きな墓として設計されているのです。
この吹き抜けには、たくさんの作品が所狭しと置かれているので、お墓に気付かずに上を歩いてしまうのも、無理はないと思います。特に、人々が注目していたのは、このリンカーンの顔のだまし絵作品です。近くで見ると、裸のガラの後ろ姿になっています。
先ほどの吹き抜けの下のフロアにある部屋です。ダリの遺体は防腐処理されて、この棺の中にあるそうです。
美術館の中でも一番盛り上がっていたのは、このメイ・ウエストの部屋です。メイ・ウエストという方は、ダリがファンだった女優だそうです。鼻の中に何が詰まってるのは分からない…w
ここからだと、顔であることがわかりませんよね。このオブジェたちを高いところから眺める場所があります。
そこから眺めてみると、ご覧の通り、顔が浮かび上がってきます。
この体験にかなりの人数が並んでいるので、この部屋はかなりの人口密度ですが、それほど時間をかけずに体験できるはずです。
かなり作品が多いので、他にも気になった部分を掻い摘んでご紹介します……。
ダリとガラ
ダリの作品を鑑賞するにあたって、押さえておきたいのが妻ガラの存在です。ダリはガラに一目惚れし、彼女が既婚者であったにもかかわらず、彼女を熱烈に愛し、最終的に結婚しました。ガラはダリの精神的な支えであり、ビジネスマネージャーとして彼を芸術家として成功に導く献身的な存在でもありました。
しかし、ガラはその自由奔放な性格(というよりシンプルに言うと性欲が強すぎるw)から、婚外交渉を持つことも多かった(パティオにあった黄色いボートはその時に…w)とされ、二人の関係は複雑でした。
晩年には関係が冷え切り、ダリ劇場美術館のオープニングレセプションの際には、ガラは美術館をほとんど見ずに帰ってしまったというエピソードも伝わっています。彼らの絆は強かったものの、非常に独特で難解な関係だったことが伺えます。
こちらの部屋にはダリがこの部屋のために描いた天井画があります。バロック美術的な巨大な天井画の中で、ダリとガラが昇天していき、黄金の雨を降らせるところが描かれています。
この部屋の奥には、不思議な家具が置かれた部屋があり、そのかなり不気味な雰囲気です。
芸術の解釈はあなた次第…
ダリ劇場美術館の外壁にたくさん飾られていたカタルーニャ地方のパンが飾ってあるこちらの通路を出てしまうと、その先は美術館の出口につながっており、作品を見逃す恐れがあるのでご注意ください。
ゼウスの石像にタコにサイがいたりと理解の難度が高すぎます!(笑)
こちらはIC チップで包まれた中国のお墓。1ユーロ入れると後ろの装飾が動く仕掛けがありました。
展示を出たところには、サルバドール・ダリの生涯を讃えるかのような部屋があり、そこで展示は終わりです。ダリの作品とは違う雰囲気ですね。
この後は、クロークで預けた荷物を返却する場所とお土産屋さんがあります。
宝石美術館にも入れます
ダリ劇場美術館の出口を出てすぐのところに宝石美術館があり、こちらにも入ることができます。この建物はそれほど大きくありませんが、ダリがデザインした宝石が展示されています。
こちらの作品は「王家の心臓」です。なんと、この心臓は動くのです。美しいけど、ちょっと不気味なダリワールド全開ですね。
ダリの絵画によく登場するモチーフを引用した宝石も展示されています。こちらは「宇宙象」と呼ばれる動物です。今にも折れそうな細すぎる脚に、背中にはオベリスクを背負っています。
美術館の後は…
お昼ご飯を食べる
ダリ劇場美術館を楽しんだ後は、ランチの時間です!スペインのお昼時間は日本に比べて遅いので、Googleマップで見つけた店もまだ営業していなかったりと、いろいろ彷徨いましたが、こちらのお店「Bon Profit Figueres」に入ることにしました。
グラスがイッタラのカステヘルミでした。こんなのがあるんですね。初めて見ました!
飲み物はビールにしちゃいました。暑い夏のランチに最高の飲み物です。
ランチはコースになっており、スターターとメイン料理の2品のセットにしました。スターターに選んだのはロシア風ポテトサラダです。
なかなかのボリューム!
そしてメインは鶏胸肉のグリルに、ご飯をチョイス。ご飯の部分は、フライドポテトか、ご飯か、野菜か、葉物野菜の4種類から選べるのです。
数日間お米を食べていなかったので、懐かしくなり頼んでみたのですが、まるでダイエット食のような一品が出てきました(笑) どちらも味は美味しかったです。
近隣を観光する
食後には、ダリ劇場美術館の近くにあるサン・ペレ教会を見学しました。サン・ペレ教会は、ダリが洗礼を受けた教会です。
ダリが洗礼を受けたこの教会と、彼のお墓でもあるダリ劇場美術館が近く(というかほぼ隣)にあることに、深い意味を感じながら歩きました。
再びバルセロナに戻る
歩いてフィゲラス・ヴィラファン駅へ(ちょっと後悔)
フィゲラスの街を観光した後、再びバルセロナへ戻ります。帰りも行きと同じく高速鉄道を利用しました。
フィゲラス・ヴィラファン駅まで、行きと同じく歩いて向かったのですが、朝とは違い、爽やかさはなく、とにかく暑くて少し後悔しました。
駅に着くと、すでに荷物検査の列がかなりできていました。
海外の列車は時刻にルーズだという偏見があるかもしれませんが、少なくともこのカタルーニャ地方を走る列車は定刻通りでしたので、遅れないように気をつけてください!
帰りは良い席に座る!
手荷物検査を受けてホームに上がると、すでに車両が停まっていました。フィゲラスが始発なんでしょうかね? 2時55分の列車です。
帰りのAVEは、上のクラスの座席「Confort」を予約しました。日本でいうとグリーン車に相当する車両です。座席レイアウトは2-1で、1側の席は向かい合って座る、あまり見かけないスタイルです。
それでは、フィゲラスからバルセロナに戻ります!
Confortクラスでは飲み物のサービスがあり、なんとカヴァを選べました。さすがカヴァの本場!
おつまみももらえました。嬉しい。
つづく…
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