バルセロナで一番有名なあの場所へ
時間指定チケットを購入して向かう
「カサ・ミラ」を見学した後は地下鉄でササっと移動して「サグラダ・ファミリア」へ向かいます。「サグラダ・ファミリア」の見学は時間指定の完全予約制で、当日券はありません。しかも予約が売り切れることもあるので、行くことが決まったらお早めに予約を!
まずは遠くから眺めてみよう
地下鉄の出口を出ると、目の前がサグラダ・ファミリアです。まずは中に入る前に外から鑑賞します。
サグラダ・ファミリアの側面は、それぞれ異なった装飾がされています(建築用語ではファサードといいます)。3つのファサードにはそれぞれテーマが決められており、イエスの生涯における重要な場面「生誕」「受難」「栄光」を表しています。ただし、「栄光のファサード」はまだ建設が終わっていないため、現在あるのは「生誕のファサード」と「受難のファサード」です。
地下鉄の出口のすぐそばにあるのが受難のファサードです。こちらは2018年に完成したばかりです。後ほど近くに行ってみましょう。
「受難のファサード」の反対側にあるのが「生誕のファサード」です。見学はここから入ります。こちらはガウディが設計を手掛け、生前に完成に近い状態まで見届けた部分です。
生誕のファサードの前には、池のある公園が広がっており、撮影スポットとして大人気です。かなりの高さがあるので、ここまで離れないと全体を収めた記念撮影ができないのです。
そして、最も高くなる塔はまだ建設中です。最も高くなるその塔は、172.5mの「イエスの塔」です。サグラダ・ファミリアはすべての長さが7.5mの倍数で設計されており、塔の高さもその規則に従っています。
さらに、この「イエスの塔」の高さは、バルセロナにあるモンジュイックの丘の標高184.8mより低く設計されているとのことです。
そもそもこの塔は何のために?
どうしてサグラダ・ファミリアにはこんなにも高い塔が何本も建っているのでしょうか?
ガウディはサグラダ・ファミリア全体を1つの楽器ととらえ、塔に鐘を設置して街に音を響かせることを計画していたようです。つまり、これらの塔は鐘楼の役目を果たします。
まだその計画は実行には至っていませんが、建設が完成した暁には、サグラダ・ファミリアが世界一大きな楽器となり、バルセロナに素敵な音色を響かせる日が来るかもしれません。
それでは教会へ
生誕のファサード
それでは、入り口で荷物検査を受けて、中へと入っていきましょう。
見学の始まりは「生誕のファサード」です。そびえ立つ4本の塔の下、緻密な彫刻が施され、3つの門が並ぶ部分がそれに当たります。ここに立ったとき、全身が震える感覚を覚えました。
一体、何を目の前にしているのだろうと感じました。これまで見てきたどんなものにも似ていない、この壮大で華やかな世界。
彫刻はその名前の通り、聖母マリアの受胎告知からイエス・キリストの誕生、そしてイエス・キリストの少年期にかけての物語を表現しています。
生誕のファサードは3つのパターンに分けられており、中央には2つの扉がある「愛徳の門」があります。門の最上部には聖母マリアの戴冠があり、その下には受胎告知のシーンが彫刻されています。
さらに、その彫刻の下、扉のすぐ上にはイエスの誕生シーンが彫刻されています。
ハープを奏でる天使像は、日本人彫刻家の外尾悦郎氏の作品(1984年)です。遠くから見ると分かりませんが、このハープはなんと、3メートルもある大きさです。
当初はハープに弦を付ける予定でしたが、弦を付けてしまうとハープの「艶やかで優しい音」が想像できなくなることを懸念し、弦の無い彫刻となりました。(主任建築家やガウディの直弟子からは、当初反対されたそうです。)
(前略)見る人が彫刻の世界にすっと引き込まれた瞬間に、心の繊細な共鳴箱がポーンと鳴る。そのとき天使の指先に、あるはずのない弦が見える。それを作品の完成にしたいと私は考えていました。
ガウディの伝言|外尾 悦郎 より
右の門は聖母マリアに捧げられた信徳の門です。こちらは青年期のイエスを中心に彫刻されています。写真中央の柱には「Maria」という文字が刻まれています。(他の2つの門にも、よく見ると同様に名前が刻まれています。)
左の門は聖徳の門で、こちらはイエスの養父である聖ヨセフに捧げられています。
生誕のファサードを支える2つの柱は亀が支えています。亀はリクガメとウミガメの2種類がいます。亀につながる柱の内部は雨樋になっていて、雨水は亀の口から排出されるそうです。
↑がリクガメ、↓はウミガメですね。ぱっと見ではその違いを見過ごしそうですが、脚と甲羅の形が全然違います。ガーゴイルの派生系みたいな感じでしょうか。
生誕のファサードの扉
生誕のファサードから教会の中へと入っていきます。この扉も先ほどのハープの天使像を手掛けた外尾悦郎氏の作品です。この扉はガウディの設計には無い部分ですが、ファサードにふさわしいものとなるように設計され、作られています。
遠目では葉っぱが生い茂っているように見えますが、近くで見ると小さな虫たちがたくさんいます。
場所によって草の種類も異なり、こちらは花が咲いていますね。
そんな扉を通って建物の中へと入っていきます。とってもかわいい扉でした。
神秘の森
中に入ると、そこは大空間。そして人が多すぎる(笑) 高さは45メートルで、建物の幅と同じになっています。見上げると天井付近で柱が枝分かれしており、天井(ヴォールト)の重さを支えています。
柱は文字通り樹木のように見え、上から差し込む光は木漏れ日のような優しさを感じさせます。
正面の聖壇にはイエス・キリストが吊り下げられています。
聖堂の中央に位置する4本の大きな柱には、福音史家のシンボルが掲げられて光っています。
このシンボルが掲げられている部分の上に「四人の福音史家の塔」があり、その中心には高さ172.5メートルのイエスの塔が建設される予定です。
このあたりは、生誕のファサードで受けた印象と大きく異なり、かなり新しくて綺麗です。建設期間が長すぎて、1つの建物の中でここまで雰囲気に差が出るのも珍しいですね…。
聖堂の両サイド(側廊)には、ステンドグラスがグラデーションの光を放ち、天井に美しい色をつけています。時間帯によって、光の色合いも変わるのでしょうね!
塔の上へ
予約した時間になったら、塔に登るエレベーターへと向かいます。バックパックは持ち込めないので、ロッカーに預けました。
予約したのは生誕のファサード側の塔です。狭いエレベーターに乗って、一気に上がります。到着すると、かなり細い通路から街の景色や建設中の様子を間近に見ることができます。
この飾りはパンとワイン。おそらく、上に付いた平たい円がパンです(キリスト教の儀式に用いるパンなので平べったいはず)。周りに付いているのは麦の穂です。ワインの方はワインカップの形をしているので分かりやすいですね。
側廊の塔には果物が飾られ、それがイエスに捧げられています。そして、その下には枯れた葉っぱが彫られています。
生誕のファサードのちょうど中央にある糸杉の彫刻も、間近で見ることができます。糸杉は、イエスが磔になった十字架の素材であり、死・永遠の生命・天と地の結びつきなどを象徴する特別なシンボルです。
この糸杉の彫刻は、色が塗られていて非常に印象的です。しかし、通路がとても細くて狭く、しかも高いところにあるので、とても怖かったですw(そのため、あまり写真が撮れませんでした)
一通り見学を終えると、登ってきた塔とは反対側の塔を通って下に戻ります。
行きはエレベーターでしたが、帰りは螺旋階段です。真ん中を覗くと下まで穴が通じていて、吸い込まれそうで怖かったです。
生誕のファサードと受難のファサード、どちらの塔に登るかは非常に迷いました。ただ、この後に受難のファサードを見たとき、生誕のファサードのほうが自分としては圧倒的な感動を覚えたので、「生誕のファサード側の塔に登った!」という自己満足的にこちらを選んで良かったです。(別に塔からファサードがよく見えるわけではないので、塔に登る経験としてはあまり変わらないらしいです)。
ロザリオの間
塔を降りて再び地上に戻り、見学を続けます。次は生誕のファサード側にある部屋「ロザリオの間」です。
この部屋はスペイン内戦中、ガウディが残した図面や、建設のための貴金属を隠していた場所でした。内戦で破壊されましたが、外尾悦郎氏によって復元されています。生誕のファサードを見た後、この空間でも再び全身が震えるような感覚を覚えました。
彫刻の多くは聖書の出来事を表現しています。これは確か、イエスが病人を回復させたシーンだったと思います。
しかし、この部屋で特に見所とされているのが、青年にオルシーニ爆弾を渡そうとする悪魔と、それを受け取る直前の少年の彫刻です。
反対側には、魚に化けた悪魔からお金の入った袋を渡されて誘惑される少女の彫刻があります。
将来の正門
栄光のファサードの門は、将来、正門になる予定です。ここから聖堂へ入っていく様子を想像してみましょう……。
受難のファサード
生誕のファサードの反対側は「受難のファサード」です。受難はイエス・キリストの人生における「死」にあたる部分です。華やかな装飾とは対照的に、直線的で恐怖感を感じさせるデザインが特徴です。
受難のファサードの彫刻は、ガウディのスケッチをベースにしながらも、彫刻家ジュセップ・マリア・スピラクスの独自性が大きく反映されています。
4×4の数字が羅列された表は「魔法陣」です。縦横斜めどの向きで数字を足しても、キリストが殺された年齢である33になります。その隣には、ユダが「裏切りの接吻」でイエスを示すシーン(どの人がイエスか分かるようにユダが合図した)が彫られています。
ファサードの中央には磔にされたイエスが表現されています。イエスの下にある顔のない彫刻は聖ヴェロニカです。彼女がイエスの汗をヴェールで拭いた際、そのヴェールにイエスの顔が浮かび上がったという伝承に基づいたものです。
このファサードは、イエスの苦しみだけが表現されているわけではありません。ファサードの上部には、昇天したイエスの彫刻もあります。
受難のファサードの脇には、現場で働く人々とその子どもたちのための学校があります。中を見学することはできませんでしたが、こちらもガウディの代表作の1つなので、ぜひお見逃しなく!
地下の博物館へ
一通り建物を見学した後、地下の博物館へと続くルートに進みます。地下の博物館では、サグラダ・ファミリアの形を試行錯誤するために使われたといわれる逆さ吊り模型「フニクラ」の再現を見学しました。
現在のサグラダ・ファミリアの建設は、ガウディの時代から大きく進歩し、CADや3Dプリンタを活用しています。その作業場もガラス越しに見学することができました。
これにより建設期間は大幅に短縮されましたが、これで良いのか?という疑問は残ります……が、たった1回見に行っただけの部外者が口出すのはやめておきましょうw
サグラダ・ファミリア見学のあとのランチ
少しだけ歩いて店を探す
サグラダ・ファミリアの見学を終えた後は、お昼ご飯の時間!
サグラダ・ファミリアの周辺は観光地なので、あまり良いお店が見つからず……。まあ、私たちも観光客なのだから、観光客向けの店に行くのが無難かもしれませんが、どうしても食べたいと思えるものがなく、少し歩いてお店を探しました。
日曜日はただでさえ休みの店が多い上に、夏のバケーションでバルセロナ市民も少なく、街にはほとんど人がいませんでした。困ったな!
El Rovellというレストランへ
しばらく歩いて見つけたのは「El Rovell」という地中海料理のお店です。ここに入ることにします!
バルセロナの人々にとって、お昼ご飯は1日で最もしっかり食べる食事です。レストランでは前菜・メイン・デザートのコースが一般的で、このお店のコースは19ユーロ、さらにドリンク1杯付きというお得さ!
テーブルに着いてオーダーしました(あまり英語は通じません)。最初はパンからスタートし、オリーブも一緒に出てきました。コースに含まれるドリンクはビールを選んでも同料金だったので、ビールを注文しました。
前菜に選んだのは、トマトたっぷりのサラダ。素材の味を活かしたシンプルな組み合わせで、とても美味しかったです。
メインは「ブティファラ」というソーセージ。これはカタルーニャの名物料理のひとつです。一緒に出てきたのは、マヨネーズのようなソースですが、酸味を抑えられた味わいの「アイオリソース」。
肉の旨みをダイレクトに味わえて大満足でした。
デザートは自家製のフラン。驚いたのは、その味がサイゼリヤのイタリアンプリンにそっくりだったこと!w
サイゼリヤのプリンも大好きなのですが、ここバルセロナで一口食べるたびにサイゼリヤがフラッシュバックして、思わず笑ってしまいましたw
最後に、食後のコーヒーを追加でオーダー。アイスコーヒーは、エスプレッソと氷の入ったグラスが別々に出てきて、自分でエスプレッソを注いで飲むスタイルでした。
これは、名古屋の喫茶店「コンパル」でやったことがあるやつだ……!と、名古屋を思い出すバルセロナの昼下がりでした。でも、よく考えてみたら、サイゼリヤのドリンクバーのアイスコーヒーも同じスタイルでしたね。
つづく…
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