ミロ美術館(ミロ財団)へ
最高の環境にある美術館
ビーチからロープウェイ、そしてバスを乗り継いで到着したミロ美術館(ミロ財団)。青い空に白い建物、とにかく暑いけれど、丘の上という素晴らしいロケーションに佇む美術館です。
正式名称は「Fundació Joan Miró, Centre d’estudis d’art contemporani(ジョアン・ミロ財団現代美術研究センター)」であり通称「ミロ財団」ですが、分かりやすいように「ミロ美術館」と記述しています。
入り口には、こちらを見つめるブロンズ像がありました。どことなく顔がラピュタのロボット兵に似ている気がします。
入り口に入ってすぐのところにあるロッカーが、今まで行った美術館の中で最も可愛かったです。
ロッカーの利用には1ユーロ硬貨が必要なのですが、ここまでほとんどクレジットカードで旅行してきたため、1枚も持っておらず、チケット窓口で両替してもらいました。
作品の数々
それでは展示スペースへと進みます。ちなみに今更言うのもなんですが、今日までミロには一切触れてこなかったので、事前知識は一切なしでこの美術館を訪問しています(笑)。
こちらは3枚で1つの作品「独房のための白い背景の絵」。
孤独の中、真ん中に立ってこの意味ありげな黒い線から何を感じるかはあなた次第!
そして、こちらは「星座に向かって飛び立つ手」。幼稚園に通っていた時によくやった手型で作る作品を思い出しました(笑)
しかしこの手型、黒いうえに背景に絵の具が飛び散っていることで、不気味さを増して感じてしまいました……。この絵の具の使い方は、日本の書道に影響を受けていると言われています。
続いてこちらの作品「死刑囚の希望」も3枚で1つの作品です。
タイトルになっている死刑囚には実際の事件が起因しており、その人物は反ファシズムの無政府主義者でした。ミロは直接的には政治的な批判を表現に取り入れていませんでしたが、このように、自らの主張を作品に反映させています。
絵だけでなく、このような立体作品もあります。こちらは「傘を持つ人物」という作品で、1935年に制作された作品のレプリカです。
その作品名が示すとおり、傘を持つ人を表した作品ですが、傘だけが本物で、それ以外はシルエットすら似ていません。それでも、なぜか傘を持っている人に見えてくるのが不思議な感覚です。突き出している部分はおそらく男性のシンボルですね…(笑)
こちらの部屋の奥に飾られているのは「夜に鳥の群れに囲まれた女性」です。
この作品も夢と幻想の世界を抽象的に描いているため、描かれた内容がダイレクトに頭に入ってくるわけではありませんが、それを楽しむのも芸術鑑賞の醍醐味ですよね。
タイトルから察するに、夜なので大きな星が右上にあり、色のついた星も見えますね。そして、くねくねとした線が鳥を表しているのでしょう。鳥に囲まれているということですから。では、女性は?というのは、よくわかりませんでした(笑)
絶景のテラスで休憩
展示の途中で外に出られるタイミングが2度あります。1度目はこちらの、水盤のある絶景のテラスです。ベンチも用意されていて、展示の一部と言っていいでしょう。こちらに飾られているのは「月、太陽、そしてひとつの星のためのモデル」です。
月・太陽・星といった宇宙を想起させるモチーフが、バルセロナを高台から見下ろすロケーションに置かれているのはぴったりですね。
再び館内に入ってすぐのところにあるこちらの作品は「水銀の噴水」です。こちらはミロではなく、アレクサンダー・カルダーの作品です。
1937年のパリ万博(なんと6度目の開催!)において、スペイン館でピカソの「ゲルニカ」、ミロの「刈り取る人(The Reaper)」と共に展示されました。しかし、ミロの作品は現在行方不明になっています。
このパビリオンは、内戦下にあったスペインの状況で、ファシスト側のフランコ将軍に対する明確な反発のメッセージを持っていました。スペインは水銀の生産地であり、その地域(アルマデン鉱山)がフランコ将軍側に制圧されていたことに由来します。
私が行った日は残念ながら水銀は流れていませんでしたが、実際には水銀が流れる展示です。
際色鮮やかな作品は「アーモンドの花と遊ぶ恋人たち」です。
アーモンドの花は桃や桜によく似たピンク色の花です。そうすると、ほぼ中央に位置する赤い物体がアーモンドの花でしょうか。花を挟んで両脇に男女が立っているように見えます。
最後は屋上
外に出る2度目のタイミングは、屋上です。屋上には色鮮やかな立体作品が飾られています。こちらは「逃亡する少女」です。
少女にしては真っ赤な脚とハイヒールが非常に色っぽいですね。逃亡というタイトルの割には、楽しそうな表情をしているので、きっと楽しい場所へ逃亡しているのでしょう。
その他にも色とりどりの作品が並んでいます。広々としているので、記念撮影をするのも良いですね。(ただし、あくまで展示作品なので触らないように!)
展示を一通り見た後は、館内のカフェで少し休んでから美術館を後にしました。
帰りはケーブルカー「フニクラ」で
あっという間に丘の下へ
ミロ美術館の後は、モンジュイックの丘の上から下に戻ります。帰りはケーブルカー「フニクラ」です。
フニクラと聞くと、多くの人にはあのメロディ「おに〜のパンツはいいパンツ♫」が流れてくると思いますが、正解です。
鬼のパンツの原曲となった「フニクリ・フニクラ」は、1880年から1944年までイタリアのナポリ近郊で走っていた登山電車のコマーシャルソングでした。登山電車を意味する「フニコラーレ」の愛称が「フニクリ・フニクラ」だったそうです。
カタルーニア語では「フニクラ」は登山電車・ケーブルカーを示す言葉です。
バルセロナのフニクラは、ロープウェイと同じく、もともとは2度目のバルセロナ万博のために作られたものです。1929年(昭和4年)のことです。
しかし、駅舎も車両もピカピカで、古さは全く感じませんでした。
走る場所はほとんどトンネルの中で、地上部分でも景色はほぼ見えません。
あっという間に下の駅に到着します。
これにてモンジュイックの丘への訪問は終了です。いよいよ旅も終わりが近づきます。
つづく…
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