fukuhomuもともとボルゲーゼ家の別荘として建てられているため、作品だけでなく空間そのものを楽しめるのも大きな魅力。本記事では、実際に訪れて感じた見どころを紹介します。
存在するもの全てが美しい館
ナポレオンの妹をモデルにした彫刻
ボルゲーゼ美術館は、一般的な美術館とは異なり、この館の所有者であったボルゲーゼ家の存在が色濃く反映されています。ボルゲーゼ家の当主カミッロ・ボルゲーゼは、ナポレオンの妹であるパオリーナと結婚しました。当時ローマはフランスの支配下にあり、この結婚はナポレオンとローマの名門貴族ボルゲーゼ家を結びつける、典型的な政略結婚でした。
そのパオリーナをモデルにした彫刻が「勝利のヴィーナスとしてのパオリーナ・ボルゲーゼ」です。


1805–1808年 アントニオ・カノーヴァ
この作品を制作させたのは、夫であるカミッロ・ボルゲーゼでした。本当に美しい彫刻ではありますが、妻を半裸のヴィーナスとして表現させるあたり、さすが貴族の趣味といったところで、なかなか理解が追いつきません。
ヴィーナスの姿に目を奪われがちですが、横たわるマットの質感にも注目です。シワの表現があまりにも精緻で、まるで本物の布のように見えてしまいます…。
部屋の端に置いてあるテーブル
ふと部屋の隅に目をやると、ひときわ目を引く美しいテーブルが置かれていました。この館は、目に入るもののほとんどすべてが芸術品で構成されています。


このテーブルも例外ではなく、支柱はグリフィンの姿をしています。重厚で圧倒的な存在感があり、空間の中でも強く印象に残る一品です。
そして彫刻と絵画だけじゃない!
吸い込まれそうなマリアーノ・ロッシの天井画
たくさんの素晴らしい彫刻や絵画を楽しめるボルゲーゼ美術館ですが、天井画にも驚かされます。大広間は、トロンプルイユ(だまし絵)技法を用いたマリアーノ・ロッシによる巨大な天井画に包まれています。


35mmのレンズでは収まりきらなかったため、ここはiPhoneで撮影しました…。(こういう時、やはり24mmくらいのレンズが欲しくなるんだよなあ。でもメインは35mmを使いたいし、レンズを持ち歩きたくないというジレンマ)
描かれているのは、ローマの起源と繁栄です。


ただし、現実の光景をそのまま描いているわけではありません。「ローマの起源と繁栄」というテーマを、女神などの姿を通して象徴的に表現しています。
エアコンの隠し方も秀逸
ここからは番外編です。館内には一流の芸術品が並ぶボルゲーゼ美術館ですが、どうしても設置せざるを得ない現代の工業製品があります。それがエアコンです。
非常に暑いローマの夏、エアコンなしではせっかくの作品鑑賞も快適に楽しめません。そこで、美術館の雰囲気を壊さないよう、室内の装飾に合わせて巧みに隠されています。


それぞれの部屋の壁の模様に溶け込むようにデザインされており、その工夫は見事です。


鑑賞の合間に、そんなエアコンの存在を探してみるのも面白いかもしれません。





つづく…

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