【ヴェネツィア】サン・ロッコ同信会館へ。ティントレットの名作と豪華絢爛の空間を歩く旅

この記事は…

実体験であることを保証します!

連載「10日間で巡るイタリア〜ヴェネツィア・フィレンツェ・ローマ」の記事です。(10/23)

約 6 分で読めます。( 2885 文字)

はじめに

fukuhomu
ヴェネツィア2日目、最初に向かったのは「サン・ロッコ同信会館」です。ペストの守護聖人、聖ロッコを崇敬する大同信会の施設であり、ティントレットの装飾によるヴェネツィアらしい輝きある空間を楽しみます。
目次

2日目観光スタート!

ちょっとだけ静かな朝

ヴェネツィア観光2日目のスタートです。朝のヴェネツィアは、少しだけ静かな雰囲気でした。日帰りで訪れる人が多いからなのか、街の動き出しはゆっくりに感じます。

朝のヴェネツィアの運河の景色

サン・ロッコ同信会館へ

和訳がブレまくりの場所です

本日最初に向かうのは「サン・ロッコ同信会館(スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ/Scuola Grande di San Rocco)」です。

サン・ロッコ同信会館の看板

こちらは日本語の和訳に揺れがあり、いろいろな解釈が見られます。

サン・ロッコ同信会館の和訳のブレに悩む男の人
このイラストはAIにより生成されたものです。
This illustration was generated using AI.

以下に登場する名称はすべて同じ場所を指していますので、ご注意ください!

  • サン・ロッコ大信徒会
  • サン・ロッコ大同信会
  • サン・ロッコ大同信組合
  • サンロッコ大信徒会館
  • 聖ロクス同信会館

どの和訳も誤りというわけではないのですが、その違いを理解するためには、元の名称に含まれる「スクオーラ(Scuola)」が何を指す言葉なのかを知っておく必要があります。

スクオーラとは何なのか

キリスト教の信徒たちは組合を構成しており、その組合をイタリア語では「スクオーラ(Scuola)」、日本語では「信徒会」と呼んでいました。

そして、13~18世紀のヴェネツィアには身分制度があり、貴族・市民・庶民の3階層で構成されていました。このうち中間層である市民層のキリスト教信徒たちによる組合は「大信徒会」と呼ばれ、イタリア語では「スクオーラ・グランデ(Scuola Grande)」といいました。

一方で、組合の人々が集まる場所である「同信会館」のことも、イタリア語で「スクオーラ」と呼ばれました。つまり「スクオーラ」は「信徒会」と「同信会館」のどちらも指す語であり、そのため日本語訳に揺れが生じているようです。

この記事では、組合を「信徒会」、建物を「同信会館」と表記して区別することにします。

TIKIKITI AI
場所と組織の言葉が一体化しているのは、日本で言う「大奥」みたいなものピヨね…

なお「ロッコ」と「ロクス」には表記揺れがありますが、どちらも同じ聖人を指しており、「ロッコ」はイタリア語、「ロクス」はラテン語の発音です。

ペストとの関係

サン・ロッコ大信徒会は、その名の通り聖人ロッコを崇敬する組織として設立されました。

聖ロッコはペスト患者を癒した奇跡を行ったとされ、ペストの守護聖人としてヴェネツィアで広く信仰を集めていました。そのため、このサン・ロッコ同信会館にもペストにまつわる絵が数多く描かれています。

豪華空間を堪能する

ティントレットによる圧巻の空間

サン・ロッコ同信会館といえば、ティントレットの作品で彩られた豪華絢爛な室内空間が有名です。ここで、ヴェネツィア絵画3大巨匠をあらためて思い出しておきましょう(生成AIを使って作った力作画像を見て!)。

ヴェネツィア絵画3大巨匠
ティツィアーノ、ティントレット、ヴェロネーゼのイラスト
このイラストはAIにより生成されたものです。
This illustration was generated using AI.

それでは中へ入っていきます。

サン・ロッコ同信会館の玄関

1階は集会所で、ここには聖母伝──マリアの生涯にまつわる場面が描かれています。こちらはその1つ、ティントレットによる「東方三博士の礼拝」です。

東方三博士の礼拝(Adorazione dei Magi)
《東方三博士の礼拝(Adorazione dei Magi)》
ティントレット 16世紀後半

中央で光り輝いている赤子がイエス・キリストで、その左にいるのがマリアです。人物のレイアウトが立体的で、ものすごい躍動感がありますね。

fukuhomu
ほかにもたくさんの絵があり、1階部分だけでも完成までに4年を要したそうです。

2階に上がると…

1階だけでは終わりません。むしろ、2階こそがサン・ロッコ同信会館のハイライトです。

サン・ロッコ同信会館の階段

2階へ向かう階段の上部にも立派な絵があり、ここでは両側にペストに関連する巨大な作品が描かれています。

サン・ロッコ同信会館の階段
両側に大きな壁画、上部に天井画がある
(右の壁)《疫病者たちに姿を現す聖母(La Vergine appare agli appestati)》
アントニオ・ザンキ 1666年
(左の壁)《ペスト終結をヴェネツィアにもたらす聖母(La Madonna salva Venezia dalla peste)》
ピエトロ・ネグリ 1673年

そして、中央の天井には聖ロッコが神々しく表現された絵が配置されています。

宗教の松明を掲げる慈愛と、聖ロッコに導かれた貧しき病人たち
《宗教の松明を掲げる慈愛と、聖ロッコに導かれた貧しき病人たち(La Carità con la fiaccola della Religione dinanzi ai poveri infermi presentati da san Rocco)》
ジョヴァンニ・アントニオ・フミアーニ 1700年

階段両側の重く濃い色彩とは対照的に、この天井画には光が差し込むように設計されており、建物と一体になった見事な演出が感じられます。

豪華すぎる空間を独占した…!

そんな階段を登った先には、キラッキラに輝く大広間が広がっています。

サン・ロッコ同信会館の大広間

壁と天井に描かれている題材は、旧約聖書と新約聖書の場面です。

サン・ロッコ同信会館の大広間

まだ朝だったこともあり、他に誰もおらず、広間を独り占めしてしまいました。上も後ろも、右も左も、すべてが芸術で埋め尽くされているのです。これはすごい…!!

特に強く印象に残ったのが、天井に描かれた大作です。人々が下から見上げて鑑賞することを前提に、インパクトのある構図で描かれています。

岩から水を湧き出させるモーセ
《岩から水を湧き出させるモーセ(Mosè fa scaturire l’acqua dalla roccia)》
ティントレット 1577年

こちらの絵は「岩から水を湧き出させるモーセ」。旧約聖書の場面ですね。そしてその間に「青銅の蛇」を挟み、さらに隣には「マナの収集」が描かれています。

マナを集める民
《マナを集める民(La Raccolta della Manna)》
ティントレット 1577年

マナとは、旧約聖書に登場する、神が天から人々に与えたとされる不思議な食べ物のことです。

このように、天井には旧約聖書の出来事が、そして壁面には新約聖書の場面が描かれています。誰もが知る有名なエピソード「最後の晩餐」もありますよ。

最後の晩餐
《最後の晩餐(L’Ultima Cena)》
ティントレット 1578〜1581年

そして、アルベルゴの間の大作

「アルベルゴの間」は、同信会館の中でも最も格式の高い部屋で、最高評議会(Capitolo dell’Albergo)が会議を開くための場とされていました。その壁一面を埋め尽くしているのが、ティントレットによる大作「磔刑(たっけい)」です。

磔刑
《磔刑(La Crocifissione)》
ティントレット 1565年

少し引いて広角で見ると、こんな感じです。

サン・ロッコ同信会館の最高評議会の部屋

そして、天井に描かれている丸い作品が「聖ロクスの栄光」です。聖ロクスとは、もちろんサン・ロッコのこと。この作品が最初に完成した絵とされています。

聖ロクスの栄光
《聖ロクスの栄光(La Gloria di San Rocco)》
ティントレット 1564年

なお、もともと天井画はコンペで決める予定で、参加者に素描の提出を求めていたにもかかわらず、ティントレットは完成版をそのまま天井に設置してしまったそうです(笑)

アルベルゴの間には控え室もあり、そちらも丁寧に装飾されていました。

サン・ロッコ同信会館のアルベルゴの間の控え室
TIKIKITI AI
アルベルゴ(Albergo)は執行部や幹部会と言った意味ピヨ
fukuhomu
この後はヴェネツィアの中心、サン・マルコ広場に向かいます!

つづく…

10日間で巡るイタリア〜ヴェネツィア・フィレンツェ・ローマ

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最後まで読んでくれてありがとう✨
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