fukuhomu2日目観光スタート!
ちょっとだけ静かな朝
ヴェネツィア観光2日目のスタートです。朝のヴェネツィアは、少しだけ静かな雰囲気でした。日帰りで訪れる人が多いからなのか、街の動き出しはゆっくりに感じます。


サン・ロッコ同信会館へ
和訳がブレまくりの場所です
本日最初に向かうのは「サン・ロッコ同信会館(スクオーラ・グランデ・ディ・サン・ロッコ/Scuola Grande di San Rocco)」です。


こちらは日本語の和訳に揺れがあり、いろいろな解釈が見られます。


This illustration was generated using AI.
以下に登場する名称はすべて同じ場所を指していますので、ご注意ください!
- サン・ロッコ大信徒会
- サン・ロッコ大同信会
- サン・ロッコ大同信組合
- サンロッコ大信徒会館
- 聖ロクス同信会館
どの和訳も誤りというわけではないのですが、その違いを理解するためには、元の名称に含まれる「スクオーラ(Scuola)」が何を指す言葉なのかを知っておく必要があります。
スクオーラとは何なのか
キリスト教の信徒たちは組合を構成しており、その組合をイタリア語では「スクオーラ(Scuola)」、日本語では「信徒会」と呼んでいました。
そして、13~18世紀のヴェネツィアには身分制度があり、貴族・市民・庶民の3階層で構成されていました。このうち中間層である市民層のキリスト教信徒たちによる組合は「大信徒会」と呼ばれ、イタリア語では「スクオーラ・グランデ(Scuola Grande)」といいました。
一方で、組合の人々が集まる場所である「同信会館」のことも、イタリア語で「スクオーラ」と呼ばれました。つまり「スクオーラ」は「信徒会」と「同信会館」のどちらも指す語であり、そのため日本語訳に揺れが生じているようです。
この記事では、組合を「信徒会」、建物を「同信会館」と表記して区別することにします。



なお「ロッコ」と「ロクス」には表記揺れがありますが、どちらも同じ聖人を指しており、「ロッコ」はイタリア語、「ロクス」はラテン語の発音です。
ペストとの関係
サン・ロッコ大信徒会は、その名の通り聖人ロッコを崇敬する組織として設立されました。
聖ロッコはペスト患者を癒した奇跡を行ったとされ、ペストの守護聖人としてヴェネツィアで広く信仰を集めていました。そのため、このサン・ロッコ同信会館にもペストにまつわる絵が数多く描かれています。
豪華空間を堪能する
ティントレットによる圧巻の空間
サン・ロッコ同信会館といえば、ティントレットの作品で彩られた豪華絢爛な室内空間が有名です。ここで、ヴェネツィア絵画3大巨匠をあらためて思い出しておきましょう(生成AIを使って作った力作画像を見て!)。


This illustration was generated using AI.
それでは中へ入っていきます。


1階は集会所で、ここには聖母伝──マリアの生涯にまつわる場面が描かれています。こちらはその1つ、ティントレットによる「東方三博士の礼拝」です。


ティントレット 16世紀後半
中央で光り輝いている赤子がイエス・キリストで、その左にいるのがマリアです。人物のレイアウトが立体的で、ものすごい躍動感がありますね。



2階に上がると…
1階だけでは終わりません。むしろ、2階こそがサン・ロッコ同信会館のハイライトです。


2階へ向かう階段の上部にも立派な絵があり、ここでは両側にペストに関連する巨大な作品が描かれています。


アントニオ・ザンキ 1666年
(左の壁)《ペスト終結をヴェネツィアにもたらす聖母(La Madonna salva Venezia dalla peste)》
ピエトロ・ネグリ 1673年
そして、中央の天井には聖ロッコが神々しく表現された絵が配置されています。


ジョヴァンニ・アントニオ・フミアーニ 1700年
階段両側の重く濃い色彩とは対照的に、この天井画には光が差し込むように設計されており、建物と一体になった見事な演出が感じられます。
豪華すぎる空間を独占した…!
そんな階段を登った先には、キラッキラに輝く大広間が広がっています。


壁と天井に描かれている題材は、旧約聖書と新約聖書の場面です。


まだ朝だったこともあり、他に誰もおらず、広間を独り占めしてしまいました。上も後ろも、右も左も、すべてが芸術で埋め尽くされているのです。これはすごい…!!
特に強く印象に残ったのが、天井に描かれた大作です。人々が下から見上げて鑑賞することを前提に、インパクトのある構図で描かれています。


ティントレット 1577年
こちらの絵は「岩から水を湧き出させるモーセ」。旧約聖書の場面ですね。そしてその間に「青銅の蛇」を挟み、さらに隣には「マナの収集」が描かれています。


ティントレット 1577年
マナとは、旧約聖書に登場する、神が天から人々に与えたとされる不思議な食べ物のことです。
このように、天井には旧約聖書の出来事が、そして壁面には新約聖書の場面が描かれています。誰もが知る有名なエピソード「最後の晩餐」もありますよ。


ティントレット 1578〜1581年
そして、アルベルゴの間の大作
「アルベルゴの間」は、同信会館の中でも最も格式の高い部屋で、最高評議会(Capitolo dell’Albergo)が会議を開くための場とされていました。その壁一面を埋め尽くしているのが、ティントレットによる大作「磔刑(たっけい)」です。


ティントレット 1565年
少し引いて広角で見ると、こんな感じです。


そして、天井に描かれている丸い作品が「聖ロクスの栄光」です。聖ロクスとは、もちろんサン・ロッコのこと。この作品が最初に完成した絵とされています。


ティントレット 1564年
なお、もともと天井画はコンペで決める予定で、参加者に素描の提出を求めていたにもかかわらず、ティントレットは完成版をそのまま天井に設置してしまったそうです(笑)
アルベルゴの間には控え室もあり、そちらも丁寧に装飾されていました。








つづく…

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